【中日対訳】カフェ数で世界トップの上海、“密集度”が最も高いストリートは?
ロンドンのシンボルが紅茶なら上海はカフェ。
「カフェ」の数でニューヨーク超え、世界一に!
【記事出所:解放日报·上观新闻】
武康ビルにあるレトロな老麦カフェ 写真:Dong Tianye氏
「カフェ」の数で世界一の上海
最も店舗が集積するエリアは?
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为了找到上海的咖啡一条街,我们从美团获取了上海6545家咖啡馆的坐标,把它们全部都放在了地图上。看起来和事先预想的一样,市中心多,郊区少。
「上海のカフェストリート」を探し出すために、「美団」(フードデリバリー等、生活関連の電子商取引プラットフォーム)に登録されている6,545軒のカフェ(コーヒーショップ)をマップ上に配置したところ、予想に違わず、市内中心部には店舗が多く、郊外は少なくなっています。
但是,青浦和嘉定比想象中的要多得多,闵行、奉贤、金山、临港也有几个咖啡馆聚集的地方,跟企业、大学、商圈分布的区域一致。
ただし、青浦と嘉定には想定していた以上に多くの店舗が集まっており、閔行、奉賢、金山、臨港にもカフェが集中している地域があります。これらは企業、大学、ビジネスエリアの分布状況と一致しています。
カフェが最も多いのは陸家嘴
再进一步缩小范围,从街道范围来看,就清晰多了。上海16个区107个街道、106个镇、2个乡,咖啡馆数量最多的是浦东新区的陆家嘴街道,共有164家。
さらに範囲を狭めて、ストリートごとに見てみると、さらに傾向が明確になります。上海にある16の区、107の街道、106の鎮、2つの郷で、カフェの数が最も多いのは浦東新区の陸家嘴街道であり、合わせて164軒あります。
陆家嘴是上海高层写字楼最密集的地方,金融白领们工作时间长、压力大,靠咖啡续命也是常事。我们数了数,这164家里有149家都是开在了办公楼里,每天中午各个咖啡店前都排着长队。
陸家嘴は上海で高層オフィスビルが最も密集しているエリアであり、金融業界に関わるホワイトカラーの労働時間は長く、大きなストレスにさらされ、カフェが“延命”を図るうえでの一服の清涼剤となっているケースも多いことでしょう。数えて見ると、164軒あるカフェのうち149軒はオフィスビルで営業しており、毎日正午の時間帯になると各店舗には長蛇の列ができています。
陸家嘴国際金融センターのカフェ店で列を作るホワイトカラー写真:Di Fei
南京西路にカフェが密集
不过,以街道为单位来算哪里咖啡馆最多其实不太公平——陆家嘴面积大呀。
于是,我们把咖啡馆数量除以区域面积,算了一下咖啡馆的密度排名。
这次,静安区的南京西路街道排到了第一位,每平方公里有57.9家咖啡馆。
とはいえ、「街道」という単位でカフェの店舗数を計算し、どこが最も多いのか当たりをつけるというのは実はフェアな作業ではありません。なんといっても陸家嘴は面積がとても広いのです。そこで、カフェの軒数をエリアの面積で割り、カフェの密度をもとにランキングを作ってみると、今度は静安区の南京西路がトップになりました。1平方キロあたりの店舗数は57.9軒となっています。
第二名是黄浦区的瑞金二路街道,和第一名差距很小,每平方千米有57.4家咖啡馆。
瑞金二路街道官方微信甚至自己做了一个小程序“金咖联盟”,让白领们可以在手机上直接查询辖区内的咖啡馆位置。
2番目にランクされたのは黄浦区の瑞金二路でした。1平方キロあたりの店舗数は57.4軒で、1位とは僅差です。
瑞金二路街道のWeChat公式アカウントには、「ゴールドカフェ聯盟」というミニプログラムまで提供されていいます。ホワイトカラーがスマートフォンで直接エリア内にあるカフェの位置を検索できるようにしているのです。
这两个毗邻的街道,一个地处南静安,一个在西黄浦。每平方公里五十多家咖啡馆,是什么概念呢?我们把这两个街道放大来看,每一个咖啡杯的图标都代表着一个咖啡馆,差不多就得每走个十几步,就能看见一家。
これら2つの隣接する2つのストリートは、1つは静安区南部、もう1つは黄浦区西部というロケーションです。1平方キロあたりの店舗数が50以上というのはどんなイメージかというと、2つのストリートを拡大すれば見当がつきます。コーヒーカップの絵でカフェの位置が示されており、ざっと十数歩進めばカフェが視界に飛び込んでくるという感覚です。
南京西路のトップは変わらず
店舗数が最も多いブランドはスターバックス
为了摸清上海咖啡馆的样貌,我们把咖啡馆也分了类。
上海のカフェの外観を知るために、カテゴリーごとにもカフェを分類してみました。
同一店名有10家及以上的算作是“大型连锁咖啡馆”,星巴克是当之无愧的第一,几乎是第二名瑞幸的两倍。第三名麦咖啡(McCafé)是麦当劳在咖啡领域的升级布局。而2019年才进入中国的加拿大版“星巴克”——Tim Horton(简称Tims)在短短两年内已经在上海开了100多家门店。
同じブランド名で10軒以上展開しているのは「大型カフェチェーン」ですが、その筆頭はといえば紛れもなくスターバックスです。2位のラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)の店舗数の2倍あります。3位のマックカフェ(McCafé)は、マクドナルドがコーヒー事業をアップグレードして展開するブランドです。ちなみに、2019年に中国に参入して間もないカナダ版「スターバックス」ーーティムホートン(Tim Horton、略してティムズ)は、わずか2年も満たない間に100軒を超える店舗を上海にオープンしています。
但意外的是,占上海咖啡馆主流的不是连锁店,而是连锁店面在10家以下的独立咖啡馆,在上海有4239家,占了64%。
ただし、上海のカフェの主流を占めているのがチェーン店でないというのは想定外でした。店舗数が10軒に満たない独立系カフェが上海には4,239軒あり、全体の64%を占めているのです。
这些独立咖啡馆,相当一部分都主打“精品咖啡”概念。
そして、これら独立系カフェの相当数が「スペシャルティコーヒー」のコンセプトを打ち出しています。
「スペシャルティコーヒー」がトレンドに
一杯拿铁只要二三十,但一杯精品手冲要卖到六十以上。多出来是智商税吗?其实也不是,就像有几十元的红酒,也有几万的拉菲。咖啡豆从产地、发酵、烘焙,到手冲时的水流大小、时长都有讲究。
カフェラテ1杯の相場は20〜30元ですが、丁寧に淹れたスペシャリティーコーヒーとなると60元以上もします。差額やはペテンに掛けられた「勉強代」のようなものでしょうか?実はそうではありません。ちょうど数十元で購入できるワインがあれば、数万元もするシャトー・ラフィット・ロートシルトのような銘柄もあります。コーヒー豆は、原産地に始まり、発酵、焙煎から、淹れるときには水量の多少や時間に至るまで、すべて絶妙なバランスが求められるのです。
在美国精品咖啡协会制定的评分标准中,能在杯测中取得80分及以上的咖啡豆才能叫精品咖啡,90分以上的豆子能有属于自己的名字,比如“梦想家”“蜜吻”。
米国のスペシャルティコーヒー協会が定めたランク基準によれば、カップに注いだ状態でのテストで80点以上をマークしたコーヒー豆がスペシャルティコーヒーと呼ばれます。90点以上の豆であれば、「ドリーマー」や「ハニーキス」といったように個別の名称が付けられるのです。
当然,连锁咖啡店中也有以精品咖啡为概念的,比如京都的%Arabica、旧金山的Peet's Coffee(皮爷咖啡)……星巴克在中国也有一家精品咖啡店Reserve烘焙工坊,就开在静安区南京西路的太古汇。
もちろん、コーヒーチェーンにもスペシャルティコーヒーをコンセプトとしているブランドがあります。たとえば京都の「%Arabica(アラビカ)」、サンフランシスコの「Peet's Coffee」等です。一方、スターバックスも中国にスターバックス・リザーブ・ロースタリーを展開しており、ロケーションは上海市の静安区南京西路の太古匯です。
スターバックスリザーブ・ロースタリーが提供するのは通常店とは全く異質のカフェ体験撮影:Dong Tianye
独立系カフェにとってのベストロケーションは?
不同的咖啡馆有着不同定位,直接反映在选址上:
カフェにはそれぞれ異なるコンセプトがあり、直接それが立地選択にも反映されてきます。
独立咖啡馆以南静安和西黄浦为中心均匀向外扩散。尤其是在咖啡馆密度最高的南京西路和瑞金二路街道,独立咖啡馆占到69%和82%,明显高于全市64%的平均值。大型连锁咖啡馆的选址则更为“抱团”,青睐白领集中的办公中心,南京西路、南京东路、淮海中路、外滩、陆家嘴街道的密度排在前五名。
独立系カフェは静安区南部と黄浦区西部を中心に均等に外側に広がっています。とくに店舗の集積密度が最も高いのが南京西路と瑞金第二路で、独立系カフェが占める割合は南京西路が69%、瑞金第二路が82%となっており、市内平均の64%を大幅に上回っているのは明らかです。大規模なチェーンカフェのロケーションはさらに”大勢に順応する傾向”が顕著であり、ホワイトカラーが集中するオフィスエリアが人気です。上位5位を挙げると、南京西路や南京東路、淮海中路、外灘、陸家嘴の順になっています。
カフェにも存在する「見下しの連鎖」
精品咖啡与商业咖啡之间的区别不仅在于价格和品质,还存在于文化上。
这是一条鄙视链,有庄园种咖啡豆的看不起从供应商那采购的,自己烘豆的看不起买现成烘好的,精品咖啡馆瞧不起星巴克,星巴克看不起瑞幸……
スペシャルティコーヒーとコマーシャルコーヒーの違いは、価格や品質にとどまらず、文化のテーマにも及んできます。これは「見下しの連鎖」であり、農場でコーヒー豆を栽培する人はサプライヤーから購入する業者を見下し、自分で豆を焙煎する人はすでに挽かれた豆を購入する人を見下し、スペシャルティコーヒーの店舗はスターバックスを見下し、スターバックスは瑞幸咖啡(luckin coffee/ラッキンコーヒー)を見下す……といった具合です。
实际上,只有当咖啡消费发展到一定层次,才会产生类似的鄙视链。
実際には、コーヒー消費のレベルが一段階アップグレードされて初めて、このような見下しの連鎖が生まれてきます。
台湾作家韩怀宗在《精品咖啡学》里讲到了咖啡的三次浪潮,分别是速食化、精品化、美学化。第三次咖啡浪潮就是精品咖啡的兴起,咖啡馆成为了城市生活的社交空间。有理由相信,上海的咖啡馆正在经历第三次浪潮的狂飙。
台湾の作家である韓懐宗(ハン・フアイゾン)は著書『スペシャルティコーヒー』で、コーヒーを取り巻くトレンドを、ファストフード化、ブティック化、美学化という3つに分けて語っています。「第3の波」となるのが、すなわちスペシャルティコーヒーの興隆であり、カフェショップは都市生活における社交の場となったのです。上海のカフェがいまや「第3の波」の高まりの真っ只中にあることは疑うべきもありません。
上海的咖啡馆藏龙卧虎。比如威海路上的这家Writer Coffee,占地不到10平方米,最多站得下两三人,但光一台Lamarzocco商用半自动咖啡机就价值10万元,有5种不同产地的咖啡豆供选择做手冲咖啡,甚至还提供SOE拿铁(以单一产地咖啡豆作为浓缩的拿铁咖啡)。
上海のカフェは「猛虎伏草」の状態にあります。たとえば威海路にある「ライターコーヒー」は、10平方メートル未満の面積で、立った状態でもせいぜい2、3人しか収容できません。しかし、ラマルゾッコの商用半自動コーヒーマシンは10万元というお値打ちもので、5種類の異なるコーヒー豆を選択し、手で淹れてもらえるのです。さらには、SOEラテ(単一の産地のコーヒー豆を使用した濃縮ラテ)も提供しています。
威海路でスペシャルティコーヒーを打ち出す独立系カフェ「ライターコーヒー」撮影:Di Fei
武康路にあるカフェショップ写真:Yin Liqin
从喝雀巢速溶咖啡是一种顶级时髦,到在武康路上手持一杯精品咖啡才有资格晒到朋友圈,上海年轻人对咖啡文化的理解,短短30年已经发生了翻天覆地的变化。前瞻产业研究院整理的数据显示,与美国、韩国、日本这样的咖啡消耗大国相比,中国咖啡消耗量年平均增长率达到27.01%,而上海就是这个庞大市场的引领者,不仅是以咖啡店的数量取胜,更是其消费层次的丰富性和多元性。
ネスカフェのインスタントコーヒーを飲むことですら一種のトレンドと見なされたのは過去のこと、いまや武康路で1カップのスペシャルティコーヒーを手にしなければ微信のモーメンツで投稿する資格さえないと見なされかねない時代です。上海の若者世代のコーヒー文化に対する理解は、わずか30年で天地を覆すほどの大きな変化がもたらされたのです。前瞻産業研究院がまとめたデータによると、米国、韓国、日本といったコーヒー消費大国と比較すると、中国におけるコーヒーの消費量は年平均で27.01%伸張しており、まさしく上海が巨大マーケットの牽引役を演じているのです。カフェの数で圧倒するだけでなく、さらに消費レベルに応じてバラエティーに富んだ側面や多様性を示しています。